天下統一を成し遂げた後は。



『終幕…?』



の2人が天下統一してから数日後。
拠点としている安土城に戻ってきた2人を城の人間総出で出迎えられ、宴もそこそこにに引きずられるようには連れて行かれ。
着いた先はの部屋。


、俺達天下統一をしたはいいが…この後どうするのか考えていたのか?」


「ん〜とね、考えてない。」


と向かい合わせに座り、発したの言葉。
先ほどの場所でかなりのお酒を飲んだであろうはいまや酔っ払いのおじさん状態。
けれど、に問われ出した答えはあっさりとしたもので。
一応「考えてない」というのはの候補にはあったのだが、こうも簡単に言われると些かむっとくるものがある。


「はぁ…いつも言っているが、どうして後先考えずに行動するんだ!
 今までは結果オーライできたが、これからはそうはいかないんだぞ?」


矢継ぎ早に飛んでくるのお小言も、今のにはあまり効果はない様子。
――――というか。


「Zzzzz……」


………寝るんじゃない!」


の説教を子守唄にして寝入っていたのだから。
耳元で叫ばれ、流石にびくりとして起き上がったは辺りを見回してからをじっと見て目をぱちくりさせる。


「ん??どしたの、何でそんなに眉間に皺寄せてるの?」


一応寝たことで酒からの酔いは醒めたらしい。
不思議そうにの顔の皺を触るのだが、今のにはそれも怒りの種にしかならず。


……先程まで俺が言っていたことは覚えているか?」


ゆら〜っと顔を上げ、を見据えるその表情(というか雰囲気そのもの)はもはや鬼。
長年の付き合いでなくともが怒っているのは確かなのだが、寝起きのに判断はつくはずはなく。


「え?え〜っと…眠たくて何も分からない…」


とりあえずは考えてみたのだが、そもそも酔っているにその記憶があるはずもなく。
そろそろと顔を上げてみれば、無言で見下ろすと目が合って、の背に一筋の悪寒が走る。
ヤバイとの本能が警告するがそんなものは知らせるのが時既に遅し。


「さ…さぁ今日も山賊を叩きのめしに行かなきゃ…だよね?」


「天下人になった俺たちに、そのようなことをする必要はない。」


「じゃ、じゃあ城内のお掃除でも…」


「城にいる人の仕事を奪うのか?」


「う……それじゃあ厨房に…」


「料理できないのに行っても邪魔なだけだろう?」


あの手この手で逃げようとするを簡単に追い詰めていく
そろりと立ち上がった足もいつしか壁際に付き、本当に逃げ場がなくなったその時。


「さあ、今からじっくり今後について話し合おうか。」


ににっこりと笑いかけ、じたばたと動く手を縫いとめて。
顔面蒼白になる相手を気にも止めず、その手を引いて近くの襖へともう片方の手をかけて開ける。
中へ入るよう促し、が部屋に入ったのを確認してから戸を閉める。


「俺たちがやることはいっぱいあるんだ。
 まずはどこから手をつけようか……


 あぁ、次に寝たら先程のように優しくはしないからな。」


頃合を見て逃げようと思っていたことも、の中では計算内。
しっかりと釘を刺し、事前にもらっていた報告書やら経理に目を通すと渋々見る
大規模な戦は終わっても事細かなものは山のようにたくさん残っている。

一難去ってまた一難。
彼女達(特に)の終幕はいつになることやら…



...end(好きシーンで創作30題・30終幕)
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