我らがこんなに長くコンビを組むことになるとはな。



『悪戯コンビ』



いつもと変わらぬクラス。
我が見る先には何かを企んだり外を眺める同級生。
――まぁ、どこのクラスにでも見られる光景だな。




そして、我はいつも面白い方へ寄っていくのだ。

「…何の話だ?」

「ん?先生への悪戯v」

我が声をかければ、その返事は嬉々としている。
先公への悪戯など誰もやらないのが普通だが、我の目の前にいる女―とその友人―だけは違っていた。
こんな面白いことに我を抜かしてやるなど…も人が悪い。
俄然やる気になった我の後ろから溜息が1つ、盛大に聞こえた。

も…また悪戯の相談かい?この前あんなに怒られたのに…懲りてないんだね?」

我がよくつるんでいるだ。
何かと世話を焼くのが好きらしいが、ここまでするのはどうやら親しい間柄だけらしい。
――現にの友人たちとはあまり喋らないようで、にこにこ見ているだけだ。
というか、怒られた?懲りてない??

「ちょっと待て。
 この前怒られた、って何をしたんだ?」

「「体育倉庫にあるバレーボールのかごに、白く塗りつぶしたサッカーボール入れてみました(です)〜」」

「だからって私まで怒られるのは心外だった。」

「…確かにな、って待て!俺も含めろよ!つーか、計画も実行もこの2人だってのに…何で俺たちまで!」

あっさりなこの女と双子の片割れが怒るのもしょうがないな。
話を聞いていれば、この2人は『と亜由の監督不行届』で別口で呼び出されて怒られたらしい。
………まぁご愁傷様、としか言いようがない。

「それはいつも一緒にいるからだろう?
 特に真由は亜由と姉妹なんだから、いくらやってなくともとばっちりはくるだろうし。」

「それに関しては俺だって納得はしてるんだ。
 けどさ、本人に直接注意して直らないものを俺が注意したって、亜由が聞くわけないだろ?」

我とて、に注意されてもあまり効いておらぬからな。
コイツ―真由―の言うことは尤もだ。

「…ならば、一番影響力のある人に言ってもらったらどうだ?」

誰の言うことも聞かないのならば、その者が尊敬する人間であれば効くということもある。
我の場合、尊敬というよりは愛しすぎているのかもしれぬ。
俗にいう『惚れた方の負け』というやつだな。

「あー…それ試したけど、効果は見ての通りだ。」

………つまりは全然効果はなかった、と。
2人の性格からして、大人しくなるというのはないらしい。
ならば、大暴れするためにもここはひとつ我が一肌脱ぐとするかv

、その計画だが我と組まぬか?」

2人の間に入って、我はに向かってにっこり笑って問う。
最初は呆気にとれらていたが、亜由の顔と我の顔を交互に見ながら悩んでいる。
あともう一押しというところだな。

「我と組めば、もっと面白可笑しくするのだがな?」

「…………例えばどんなの?」

まだちょっと悩んではいるようだが、内容を聞いてくるところからして脈ありとみて良さそうだ。
ざっと計画中の悪戯を聞いて、いくつかの改善点とそれに見合った案を出す。
何故か亜由まで真剣に聞いていたが、これは我とで行う作戦だ。
入りたい、と言っても入れぬからな?

「…いいわ。その計画乗った!」

「ならば次の休み時間から実行するぞ?」

それから手際よく準備をして、あとは引っかかるのを待つだけとなり。
我ももワクワクして待っていたのだが………

「来ないわねぇ…」

「…遅い。我の見立てでは、既に引っかかっているのだがな。」

肝心のターゲットが姿を見せないことに焦りと苛立ちを覚える。
最悪帰ってしまっていることも考えたが、曰く「今日は最後までいる日よ」とのこと。
ならば早く来ぬか!我は早く小十郎に会いたいというに!!

「あ!やっときた!」

の声に慌てて身を隠す。
懐中電灯1つ持って辺りを照らしながら歩いてくる先公は、その先にある仕掛けにまだ気づいていない。

早く、…早く、早く……その扉を開けろ…!





「な!なんだこれはぁぁぁっっ!!!」





――引っかかった!
顔めがけて飛んできたコンニャクと頭上から降ってきたスポンジの効果は意外にも相性は良かったらしい。
張り付いたコンニャクをはがし、スポンジを恐る恐る踏みつけ、情けない声1つあげて走り去っていく。
その様子をバッチリ見ていた我らは、互いに見合って噴き出す。

「あーもう何あの反応!やつがあそこまで面白いとは思わなかったわっ!」

「コンニャクとスポンジが暗い所では意外といい道具になるのがよくわかったな!」

「準備も楽しかったし、また一緒にやりましょ?」

「このような面白いこと、絶対に止められぬなv」

そのあとしっかり片づけをして学校を後にし――――後日、揃って呼び出され説教を食らったが。
あんなもので効くと思ったら大間違いだ。
それはも同様で、次のターゲットを絞っている。

「次は決まったのか?」

「勿論よ!…、またいい案期待してるわ♪」

「くくっ…任せておけv」

こうやって、我らが在籍した学校には名前が残されていくのだ。
『開校以来の悪戯コンビ』となw



...end(好きシーンで30・16共犯、共謀)
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