だって、なんかむかつくしさ。



『・・・気が変わった。』



ある晴れた休日の朝。
が朝食を食べながらおずおずと言った。


「佐助さん…ぼく、今日は出かけたい。」


それは珍しいお出かけのお誘い。
あまり人ごみが好きじゃないは休日にあまり外出しようとはしない。
それでも誘えばするし、用事があれば出るけど今日は用事はないはずだし…
とにかくから言い出すのはかなり珍しい事だ。


「いいよ。でも、どこに行きたいの?」


でも、出かけたいならそれもいい。
せっかくの可愛い恋人からのデートの誘い(は無自覚なんだけどね)
断るなんてもったいない。


「あ、あのね…手芸店に行きたいんだ。」
「手芸店?近所の?」
「ううん、街の方にあるもっと大きいところ。」
「あの、デパートの中に入ってる?」
「うん!」


いいよと言えばパァッと明るくなるの表情。
嬉しそうにニコニコと笑いながら一生懸命に話す姿はやっぱ最高に可愛いv
笑ってる顔もだけど、この笑顔が涙目になって必死に俺様に縋る時なんて…っと、しまった。
ちょっと邪な想像が入ったけど今はまだそう言うのダメだから。
それは帰ってからでしょ(帰ってからする気らしい)


「いいよ〜?また何か作る材料買うの?」
「うん!シャツ作る。」
「へ〜、また誰かに頼まれたの?」


の趣味は洋裁だ。
しかも、かなり趣味の域を出た腕前で将来はそっちの職に尽きたいらしい。
その練習にと人から頼まれたものを作っているを知っているから今回もそうなのだろう。
そう思っていたのだけど…



「ううん…にプレゼントするんだ。」

言われた言葉に不覚にも一瞬固まった。



行き成り出てきた予想外の人物の名前。
の幼馴染で…もっか二番目の危険人物と言える。(ちなみに一番は…スキンシップ激しすぎ!)
が誰よりも頼りにして誰よりも信頼している人物。


君にプレゼント…何かあったっけ?」
「ううん…ただ、この間が『そろそろシャツ欲しいな』って言ってたから…」
「だから、作ってあげるの?」
「うん…普段、迷惑かけてるから…この間も…」


にこにこと説明するは可愛いと思う。
今すぐにでもぎゅうっと抱きしめてキスしまくりたいぐらい可愛い。
でもね、その口から俺以外の男が出てくるって言うのはなんかさ。
相手は旦那の恋人だってわかってるんだけどね。
うん、なんかあれなんだよね。



「だから…お礼もかねて…にあげたいんだ。」

―なんかむかつくわ。



なんか妙にいら付いて俺は立ち上がるとの隣へ。
食事中のの手を掴むとそのまま構わずにその唇に口付けた。
間近にあるの目が大きく見開かれた。


「んっ!……あっ…」


何かを問おうと薄く開いた唇に舌を差し込んで。
の言葉も吐息も奪うほどの深い口付けを施せば抜けていく力。
手に持っていたスプーンがカチャリとを立てて床に落ちる。
完全に体の力が抜け切ったから口を離す。


「はぁっ…佐助っ…さっ…」


荒い息を吐きながら見上げてくる潤んだ瞳。
赤く染まった頬が、小さく微かに震える姿が可愛くて…苛めたくなる。
そのまま首筋に顔を寄せ痕を付け舌を這わし、空いている方の手で体を弄る。
服の中に手を入れ素肌に触れればびくりと体が大きく震えた。


「やっ…まっあっ!」
…かわい〜♪」
「ひゃっ…だ、だめっ…今日は…んっ…お出かけっ…」
「あ〜、それやめよ。」


もう出かけるなんてどうでも良くて…
今俺の中にあるのはを可愛がって苛めて声が嗄れるまで泣かせたいなんて感情。
今日はもう一日部屋で過ごしちゃおうよ。


「あっ…はうっ…なん…で…///」


そう言えばはなんでと問う。
まぁ、主な理由はやっぱり他の男名連呼されたって事なんだけどさ。
強いてあげれば…



「…気が変わった。」

これかな?



って、事でお出かけ諦めて愛を確かめ合おうよ…他の事全部忘れちゃうぐらい。


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