もしも……貴方の大切な人が、貴方の為に身体を売ったら……



『If how do you sell yourself at precious person ?』




*有川将臣の場合*

いつものように、にセクハラ行為をしている。

「ん…?、背中…肩甲骨の辺りが変な感じするんだけどよ。」

一瞬だがざらっとした感触。
いつもに触れている将臣が気付かないはずはない。
背中を確認した将臣がいくら追及しても、は頑なに黙秘した。

「ふーん……大方、オレを守ろうとしてこういうことしたんだろ?」

が性格上、当人に内緒でやることは多く、将臣は付合いが長いおかげである程度の予測はつく。

「……………そいつ、必ず探し出してぜってぇ殺してやる…」

暗く宿った瞳に気付くのはいつか…?




*源九郎義経の場合*

が九郎を見るたびに、辛そうな顔をして目線を外す。
いくら九郎が鈍いとはいえ、1日にこう何度も同じ事をしていてはいくらなんでも気付くというもの。

……俺が何かしたか?」

はふるふると首を横に振るが、それでも目線を合わせようとしない。
九郎はをすっぽりと抱いたとき、服の隙間から見えた青色の痣。
服をはだけて確認すればそれは何かの紋様で。

「これは…?一体どこでつけてきたんだ!」

何度問うても答えない
九郎はあえて問うことを諦め、を再度抱きしめた。

「もう俺に内緒でこのような傷はつけないでくれ……頼むから。」




*ヒノエの場合*

あからさまに避けて会おうとしない
流石に苛立ちを隠せなくなったヒノエは、の腕を捕まえて、自分の部屋に連れてきた。

「何隠し事してるわけ?」

何もないと言い張るが、それが通じる相手ではなく。
まもなく烏からの情報で、ヒノエの為に身売りをしてしまったことがバレてしまった。

「…ねぇ……俺ってそんなに頼りない?」

違うと言っても、今まで隠してきたことで信用はないだろう。
だからただごめんなさい、とだけ言った。

「俺自身の問題なんだから、俺に相談くらいあってもいいんじゃない?」

いつの間にか背中に捲くられて、キスをされていた。




*武蔵坊弁慶の場合*

薬を取りに来た

「あ、少し待っていてくださいね?」

頷いて後ろを向いて待っていれば、薬を薬ほうに包む音。

「お待たせしました。…ところで、背中にある青い傷は何ですか?」

にっこりと笑ってはいるが、雰囲気は黒そのもの。
びくびくしながらも黙ったままのに、弁慶は大方の予測をつける。

「原因は僕…でしょうね。大方貴方は秘密を守ろうとして庇ったのでしょう?」

後ろから抱き込まれ、服越しになぞられる。

「許せませんね…僕のさんに傷をつけたこと……とくと後悔していただきましょうv」

姿の見えぬ相手への…宣戦布告。



*有川譲の場合*

兄さん?」

有川家で熱を出してしまった
昨日襲われた痕は殆ど消えていたが、発熱だけは無理だったらしい。

「汗が酷いですね…着替えましょう。」

自分で出来ると言ったものの、手がふらついて結局譲に脱がせてもらった時、譲が厳しい顔になった。

「これ……昨日のことが原因ですか?」

鏡を見せてもらえば、肩甲骨辺りに青い模様が刻まれていて。
何も言わずただ泣きじゃくるに、譲は新たな決意をする。

『もっと…もっと俺が強くならないと…兄さんにこれ以上の迷惑はかけられない。』




*梶原景時の場合*

、襲われた後の帰宅途中に景時と鉢合わせする。
少しよろついている姿は、見ていて危なっかしい。

くん!大丈夫〜?」

介抱すれば、上着が無残にもぼろぼろで。
そこから見えた模様に景時はすっと血の気が引いた。

「これ……今し方出来た傷…でしょ。」

肯定も否定もしないに、景時は舌打ちをし、を抱えて邸へ向かう。
式を1つ出し、以外の気を覚えさせ、その気を追うように命令する。

「ただで済むと思ったら大間違いだよ〜?」

を襲うということは、倍以上の返しがあること……くすくすと笑って景時は邸へと急いだ。



*平敦盛の場合*

脱衣場に偶然居合わせてしまったと敦盛。
着替中だったの背には青い模様が刻まれていて、そこから敦盛には馴染み深い陰気が流れていた。

殿…その背の模様はいつつけられたのだ?」

敦盛に言われ、急いで隠しても既に遅く。
ぎゅっと拳を握り蹲れば、その手を上から敦盛の手が包み込んだ。

「深く追求はしないが…原因は私なのだろうな。」

握る手に更に力が入り、これでは肯定していると思われても仕方がない。

「私にもっと貴方を守る力があれば、こんなことにはならなかったのに……」

すまないと謝る敦盛にはそっと涙を流した。



*リズヴァーンの場合*

にこにこと笑うだが、今日の笑顔は何故か哀愁が漂っていて。
でもそれが深くなるのは相手がリズヴァーンの時だけ。

…何故そのように悲しく笑う?」

目線を合わせて問えば、の目からは涙が出てきて。
それに驚いたリズヴァーンは、思わずを抱きしめた。

「今は泣きたいだけ泣けばいい。だが…その後でこの背にある傷のことを言ってはくれないか?」

合わせの後ろの間から覗く模様のことを言えば、はびくっとして。
一瞬は見上げるものの、また胸に顔を埋めて泣き出した。

『……私のこと、なのだろうな』

今はただ、が無事でよかったと思うばかり。


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