家で寝てたら、インターホンが鳴ったので出てみたら。
私の兄だ、と名乗る人がいました。

………母さん、信じていーんでしょーか…?



僕らの住む街―The Reckless GIRL & Unfortunate BOYS―
の新しい家族……しかも兄!?〜



今日は日曜日。
いつも通り仕事から帰ってきて気持ちよく寝てたら、インターホンの音。

「ん…気持ちよ、く寝て…るの…に……」

こんなことで私の目が覚めるはずもなく、まだまだ夢の中。
相手は私がいるのが分かっているかのように、しつこく鳴ってくるインターホンに私はキレた。

「んもぅ、こんな時間に誰よ!!顔見てぶん殴ってやるわ!!!(怒りMAX)」

で、着替えもせずに玄関へ直行。
内鍵を開けて、ドアを開けたら……綺麗な顔立ちの男が2人立ってました。

「こんな時間に誰!……
って、なんてカッコイイ人たち♪





「…………こんな時間って、もう昼の1時を回っているのだが(汗)」

「小十郎、そんなツッコミはいいから早く話せ。」

ふむふむ…糸目の人の方が年上に見えるけど、立場的には眼帯をしてる人の方が上なんだ〜
ってことは、立場を利用してヤってるのかしら??それとも下克上してるのかしら?!!
私はドアノブを持ったまま、このカッコイイ2人に目を奪われてましたv

「(何やら変なものを感じるのだが)……さ、早速だが、ここに砂城殿はいらっしゃるか?」

「(殿とはまた古典的な…)はぁ…私が砂城ですけど…私に何か?」

…あれ?この糸目の人、どっかで見たことあるような気が……するんだけど、…どこだっけか?
んーっと…えーっと……確か最近だったはずなのに…
学校じゃなくて、帰り道でもなくて……母さんの通夜でもなくて…葬式…!

「思い出した!貴方、母さんの葬式で、の隣にいた人!!」

私は糸目の人を指差して叫んだ。
あの時は遠目でよく顔が分からなかったけど、確か視線の先にいたのは髪がオールバックだったのと糸目だったのが目を引いたんだっけ。

「……ど、どうやら覚えていたようだな。その…話というのは…」

「何か長くなりそうね。今、もいないし上がってくれる?」

「Wait!!…その前に、お前のその服装は何とかならないのか?」

眼帯の人にそう言われ、私は自分の身体を見る。
着ているものはTシャツ(ブラジャー未着用)と短パン。
しかも白色のTシャツで……胸が透けて見えてた。
…そういや、今まで家訪ねて来る人なんていなかったから、いつもの格好でいたんだっけ。
通りで、言葉がどもってたワケだ。

「ま、とりあえず上がってくれない?」

布団を片付け、折りたたみテーブルを出した後、御世辞にも美味しいとはいえないお茶を出して、着替えに行きました。
……ちゃんと、あの人たちの見えないところで着替えたわよ?
流石に人前(男だしね)で着替えるほどの度胸は持ち合わせてないから!







「お待たせしました。……で、話って何?」

10分後、私は自分のお茶を持って2人の向かいに座る。
話っていっても、回りくどい言い方は私は好きじゃないから、単刀直入に聞く。

「話というのはですね…その…」

「小十郎、それは俺から話す。
 話ってのはだな、…お前は俺の妹なんだよ。」

糸目の人…小十郎さんは、さっきの私の格好がまだ頭から離れないみたい。
それを見かねたのか分からないけど、眼帯の人が代わりに話してくれた。

「へぇ〜、私たち兄妹なんだぁ。……
はいぃぃ?きょ、兄妹ぃ〜?!誰と誰がよ!?」

「お前と俺が。」

いきなり結論で緊急事態だわっ!そうスクランブルよ!!
私、他に家族なんていたの?!
母さんは何も話してくれなかったわよ!?
てゆーか、いきなり家族だ兄だって言われて、信じられるとでも思ってるわけ??!
それこそバカのすることよ!!えぇそーよ!でも私はバカじゃないわよ??
腐女子なだけで、決してバカじゃないわっっ!!!
…はっ……とりあえず落ち着かないとっっ!


すーはー…すーはー…すーはー。うん、これでOKv


「…あのぉ…私、他に家族いるなんてきーてないんだけど。」


軽くパニックになりながらも、私は自身を落ち付かせる。
生前、母さんから家族の話を聞いたこともなかったし、私も聞く気はなかったから…
だから母さんが死んだとき、『もう世界で1人なんだ…』と思ってたんだよね。

「What?聞いてないだと??」

眼帯の人に訝しげな顔で言われ、私は何度も頷く。
だって聞いてないものは聞いてないんだもん。

「政宗様…」

「あぁ。ということは、Fatherの事も聞いてないのか?」

父さん…?
そんな存在、全然気にも留めてなかったわね。
物心つく前から、母さんと2人で暮らすのが当たり前だったし。
母子家庭ってコトで苛められても、私自身気にしなかったし、それどころか私含め周りの友達が苛め返してたしv

「私に父さんの存在なんてあったの?」

さも真面目に聞き返せば、2人は呆気に取られてた。
その顔から、本当に何も話してないんだなっていうのが見て取れる。
…流石に家族のことは少しだけでも聞いておいた方がよかったかしら?

「…一口に兄妹だと言っても、政宗様とは異母兄妹になります。」

「Fatherは一緒でMotherが違うってことだ。分かるか?」

「そのくらい分かるわよ!!」

眼帯の人、小十郎さんが『政宗様』と呼んだ人がニヤリと笑って私に言う。
幾らなんでも馬鹿にし過ぎじゃないの?!

「政宗様!あまりからかうようなことはお止め下さい!!」

ばんっ、とテーブルを叩いて小十郎さんが叫ぶ。
この政宗様って人……他人で遊ぶのが大好きなのね…と似たような性格してるわ。
あ、そういえば。



「私は貴方達の名前、知らないんだけど??」



自分で淹れたお茶をすすった後、肝心な事を聞いてみる。
相手方は私の名前を知ってて、こっちから聞くの忘れてたんだっけ。
今更遅い、なんて言わないでくれる?
聞く前に服装だったり、結論聞いてたんだから…しょうがないってもんでしょ。

「あ?そういや言ってなかったか?
 俺は伊達政宗だ。『伊達コンツェルン』と言えば分かるだろう?」

「私は片倉小十郎と申します。
 幼少より、政宗様の御傍に控えさせていただいております。」

ふ〜ん…伊達コンツェルンねぇ……
って、急成長したあの会社の息子!?

「じゃ貴方が社長令息なの?!」

「そういうこった。で、お前が社長令嬢だな。」





うっはぁ……世の中聞いてみなきゃ分からないこともあるものねぇ〜
でも…でもよ?

「その兄妹って証拠はあるわけ?」

幾ら異母兄妹とはいえ、どこかしら似てる部分があると思うのよ。
でも全然似てないし、まして男と女だし…

「俺たちが兄妹っていう証拠はないが、親父からお前の御袋に渡したものがあると聞いたが?」

母さんに渡されたもの?
形見の中にらしきものってあったかなぁ…

「ちょっと待ってて」

部屋の片隅にある袋を手に取り、テーブルの上に出してみた。
整理してたときは何とも思わなかったけど、割と小物が多かったことに私が吃驚だった。
その中でも目立ったのがピアスとネックレスと簪。
母さん自身、こういうのが大好きで集めてたのを知ってたから、私もよく静音さんに習ったっけ。
ピアスなんて、フックに取り付けるとき何度も指を刺しそうになって、沢山怒られたっけ。
そうやって出来たものを母さんに見せて、つけてもらって……それが嬉しくて、何度も作ったのを覚えてる。



「その簪だ!」

袋から出した簪を見て、政宗さんが叫んだ。
私は手に持ってる簪をまじまじと見るけど、綺麗な細工意外はよく分からなかった。

「ちょっと貸して下さい。」

小十郎さんに簪を渡して、政宗さんと一緒に見てる。
これ、そんなに高価なものなわけ?
そんな私を他所に、2人はまじまじと真剣に見入っている。
大の男2人が言葉も交わさず1つのものを見ているのは、何か不気味なものがあって。

「で、気は済んだ?」

無言が耐え切れなくなって、私が言葉を発せば。
2人は私に向き直ってこう言った。


「「これで間違いなくお前(貴方)が俺の妹(伊達家縁の者)だってことが判明したぜ。」」


っていっても…何の変哲もない簪1つで、何が分かるってのよ…
家紋が入ってるわけでもないのにさぁ?

「何かご不満でも?」

「なんでそれを見ただけで、自分たちのものって分かるのかなぁって思っただけよ。」

「ま、コイツにはわかんねぇだろうよ。幾つも伏線が張られてるからな。
 小十郎、骨が折れるが説明してやろうじゃねぇか。」

そして政宗さんから、この簪で使われてるモチーフの意味について1から10まで全て説明されました(泣)
家紋ありすぎ!んでもって、意味まで複雑すぎだよ!!
とりあえず、1回の説明で私がわかったことは……この簪で使われている家紋は竹雀だということ。
後は色を模して作っていることしか理解できなかったわ…。

「どうだ?、分かったか?」

「…難しすぎてわかるかっっ!!」

漸く難しい説明地獄が終わりました。
もう私の頭の中はパニックよ!混乱の沙汰よ!!もう何も理解したくないわ!!!
でもって、途中から生返事をしてたのがバレて、私がちゃんと理解して言えるまで説明するなんて……



なんて鬼畜な男なのかしら!!(怒)



「ぜはー…ぜはー…」

「漸く一字一句間違えることなく言えるようになったな。」

まるで伊達ではそれがいえるのが当たり前、という顔をして。
……私、この人みたいに純粋な伊達の血なんてひーてないんだけどなぁ…

「覚えきった御褒美だ。ありがたく受け取っておけ。」

そう言うと同時に私の眼前には政宗さんの顔。
そして額に軽く触れる程度の……キス。


き、ききき……キスぅぅぅ??!?!
今っ、私っ…母さん以外からキスされたの!?
どうしよう?!男からされるなんて、私…一生の不覚だわっっ!!!

「わ、私っ///母さん以外にキスなんてされたことも、させたこともないのにっっ!!」

…お前何焦ってるんだ?」

「政宗様……殿は、男性からのキスを受けたのが初めてで混乱なさってるんですよ。」

「ほぉ?そりゃいいものをいただいたな。」

ニヤリと笑って、私を見てるんだろうと思う。
何故かって?そりゃ私が顔を上げられないからに決まってるでしょ。
それにこの男…より性質が悪いわっっ!!

「と、とにかくこれで気が済んだのなら、今日は帰って頂戴///!」

「ま、目的の1つはClearしたからな。」

「では、また後日改めて。」

そうして2人は帰っていきました。
あの政宗さんって人、『目的の1つはクリアした』って言ってたけど……
この爆弾以外にも、まだ目的あるの!?
……誰か、早く私を解放してぇぇ〜(泣)



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