通された部屋で待っていたのは、とても綺麗な人でした。
でもどことなく腹黒そうな感じがするけどねv




僕らの住む街―The Reckless GIRL & Unfortunate BOYS―
〜御見合いなんてぶち壊してやるんだから!〜




「ここだ。入るぞ。」

漸く掴まれていた腕を離され、案内役の仲居さんが襖戸を開ける。
部屋はさっきよりもやや小さくて、目の前に大きな机があって、その上座側には今日の相手だろうと思われる人が座っていた。

「竹中殿、お待たせいたしました。」

こじゅぱぱが先に中に入って、私、まさにぃの順に席に着く。
当然私の前に相手である竹中さんが座っていて、その左側には
ゴリラのような人(本当にそうなんだもん)が座っていた。
…で、一応まさにぃから『静かにしてろ』って言われたから、静かにはしてるけど。
チャンスを見て絶対ぶち壊してやるんだから!


「お待たせして申し訳ありませんでした。
 幾分問題が生じまして、このようになってしまったこと、お許し願えますか?」

「いえ、構いませんよ。ということは、私服なのも問題の1つ、と。
 それにお待ちしている間、十分この店を楽しませていただきましたので。」

「そうでしたか。それはよかったです。」

そして、大人の話は止まらない。
仕事の話とか、経済状況とか、社員の態度とか……その他諸々。
その途中で電話が鳴って、社長さんの方は帰っちゃったんだけど。
その後も話は続いて、私が聞いてても全然分からなくて、いつものBL妄想に入っていったんだけど。
…丁度いい場面で、進行が再開されてしまった。

「すみませんが…そろそろ自己紹介させていただいても宜しいでしょうか?」

「あぁ、そうでしたね。」

こじゅぱぱは思い出したかのように、ぽんっと手を打つ。
……ホント一直線だよね…(呆)

「僕は竹中半兵衛です。年は24で、豊臣トランサクションの副社長を務めさせていただいてます。」

「伊達です。19歳の婆砂羅大学2年で情報系を専攻してます。
……本当は来たくて来たんじゃないんだけど。

とまぁ本音を言ってみた。
そしたら、私の口をこじゅぱぱが塞ぎ、まさにぃからはすぱーんっと後頭部をはたかれた。
あまりの見事な連携プレイに、私は涙目にならざるを得なかったんだけど…
これって……あまりにもヒドくない!?

「んーっ!んんんんんんーーーー!!」(ちょっと!何すんのよーー!!)

「大変失礼致しました。
 何分、引っ張って連れて来たものですから、少々機嫌が悪いようでして…」

こじゅぱぱが必死に謝ってる。
その反対横ではまさにぃが私に睨みを聞かせて、『余計なことを言いやがって』って目で語ってる。
私ははたかれた後頭部を摩りながら、『本音を言って何が悪いのよぉ…』と口には出さず思っていた。



「(くすっ)いえいえ構いませんよ。人間誰にだって急に不機嫌になるときはありますから。
 それに……こういうほうが、攻略し甲斐があっていいですしv」



今、竹中さんの周りが一気に温度下がったんだけど……
必死に謝ってたこじゅぱぱも、私に睨みを聞かせてたまさにぃも流石に固まってた。
それは私も例外じゃないんだけどね。



でも、これで私の妄想の幅が広がったわ!!
今まではこの主従関係でやってたけど、竹中さんとまさにぃの組み合わせも面白いわv
あとさっきの社長、豊臣さんと竹中さんの組み合わせもねvv

私の妄想オーラが届いたのか、こじゅぱぱがこちらに戻ってきた。
ちっ…今からこじゅぱぱの浮気設定考えようと思ったのに…まぁいいわ、まさにぃで考えるとしましょ。
……っていうか、まさにぃ固まってる時間が長いわね。
もしかして、竹中さんに惚れたとか!?
ずっと見てるもの!絶対惚れたのよ、間違いないわ!!


こうなれば、私の本領発揮よvv
見てらっしゃい2人もっっ!私に御見合いさせてくれた報い、今こそ晴らしてやるわっっっ!!!

「ねぇねぇ竹中さん……1つお聞きしてもいいですか?」

「えぇ。何でしょう?」



「まさにぃのどこがお好きですか?」



滅多に見せない(店のお客さんにもね)笑顔で言ってみました♪
こじゅぱぱがその意図に気付いた瞬間、「様!!」と叫んだのは勿論、まさにぃは更に固まって口をあんぐり開けてた。

えへv仕返し大成功〜vv


「政宗様!様におっしゃらなくてもいいんですか…って、政宗様!?」

さっきの私の一言がかなりダメージを与えたみたいで、まさにぃは全然こっちに戻ってくる様子がなくて。
俗に言う『魂が抜けた状態』になってた(笑)

様…この落とし前は、きっちり家でつけないといけねぇな…」

こじゅぱぱが黒ーくなってるけど、そんなのは今の私にはあまり通用しない。
自他共に認める『トラブルメーカー』なら、どこまでも引っ掻き回さなくちゃねvv
こじゅぱぱはまさにぃを支えて、竹中さんに謝礼して部屋を退室していった。







「僕達だけになっちゃいましたね。」

しんとなった部屋に、響く声。
今まで騒いでいたのが嘘のようで。
でも、私の心はまだちょっと靄がかかってた。

「堅苦しいことも終わったし、私の目的もまぁ果たせたし?」

「この話を潰すこと、がですか?」

「そーゆーコト。竹中さんには悪いことしちゃいましたね…
 時間あればですけど、喫茶店行きません?」

竹中さんはさっきとは違う笑みで、「いいですよ。」って言ってくれた。
社長さんが仕事してるのに、戻らなくていいのか気になってたんだけど…

「秀吉から、『今日は何があっても休みだ!』って言われてますから。」

だってさ。
なので、私たちは近くの喫茶店に、手を繋いで行ったんだけど…///


十云年振りに緊張したわ!!

最後に男と手を繋いだのなんて、小学生よ?!
確か2,3年の遠足以来じゃないかしら?

っていうか、私が世のカップルみたいな真似をするなんて思ってもみなかったわ!!!

何というか…私って、初心すぎ??



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